安藤エヌ

きっと、それは愛じゃないの安藤エヌのレビュー・感想・評価

きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)
3.6
幼馴染の見合い結婚を追うドキュメンタリーを撮る主人公の視点から描き出す「恋愛とは?結婚とは?」の問いかけ。異文化の宗教観、価値観の違いにはっとさせられる場面が何度もあり、多くの現代に生きる女性に寄り添う作品になることだろうと感じた。

運命の相手を見つけることが恋愛というけれど、その運命の糸をなかなか手繰り寄せられない焦りともどかしさ。主人公ゾーイが抱いている恋愛に対しての考えに共感できたし、私のような、そして彼女のような独身女性も沢山いるはず。今日的な恋愛観を「映画の中で映画を撮る」という描き方で洞察した、人の温もりを感じられる作品だった。

恋愛しなきゃ、結婚しなきゃと考えるがあまりに不自由で視野が狭くなっている自分のことを顧みたり、世界の広さを知る良いきっかけになった。

路地裏で歌を聞くシーンと「好意に落ちる」という台詞が印象的だった。これもまたひとつの愛の形であり物語だなと感じた。あとやっぱりエマ・トンプソンが好き。今回も良い役でした。
安藤エヌ

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