イージーライター

きっと、それは愛じゃないのイージーライターのレビュー・感想・評価

きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)
2.5
筋たては面白い。人種の坩堝、ロンドン。パキスタンをルーツに持つ青年と幼なじみで育ったドキュメンタリー監督の白人女性主人公が、その青年の伝統に即した見合い結婚を映画として取ることになった。なお監督の彼女は痛い恋ばかりしている。
青年の家族は敬虔なムスリムであり、ロンドンにあっても、青年の連れ合いにはムスリムの規範を求める。果たして青年が選んだ女性は、家族がまさに望んだような宗教的にも、家族制度の中の嫁としてもこれ以上ない女性。
女性監督は、幼なじみとその連れ合いの、パキスタンの家族制度上にある見合い、結婚、そしてそのつぎに来る恋愛を、どうカメラに納めるのか。そんな流れで、ラブロマンスなど普段見ない私でも、ムスリムの因習、ロンドンという社会でのマイノリティの生き方なんかで関心を寄せられ、飽きることはなかった。ただ、邦題がなにせすべてを語っており、ラストが透けて見えるのが癪にさわるのだが、まあそれでも最後まで飽きさせない吸引力を持っているこの映画に星二つはかわいそうだろう。映画の途中に台詞で紹介されるラブロマンスの名作「恋人たちの予感」の系譜にありながらも、加えて前述の通り、異文化との接点という魅力も注いでいて、単なるその筋の映画に収まっていないのがいい。
しかし映画が終わり、明かりがつくと、女性一人という鑑賞がほとんどだった。見事なぐらいに。このての映画はカップルでの鑑賞が定番かと思ったが、ユニークな客層と言う点でも、妙に心に残った。ちなみに男一人は私だけ。きっと、それは罰じゃない。