ねむろう

おしょりんのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

おしょりん(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_224


見えたのは、
世界、明日、希望――


【簡単なあらすじ】
時は明治37年、福井県足羽郡麻生津村(現・福井市麻生津)の庄屋の長男・増永五左衛門と結婚したむめは、育児と家事で忙しい日々を送っていた。ある日、五左衛門の弟の幸八が勤め先の大阪から帰郷し、村をあげてメガネ作りに取り組まないかと持ち掛ける。今はほとんど知られていないメガネだが、活字文化の普及で必ずや必需品になるというのだ。成功すれば、冬は収穫のない農家の人々の暮らしを助けることができる。初めは反対していたが、視力の弱い子供がメガネをかけて大喜びする姿を見て、挑戦を決めた五左衛門は、村の人々を集めて工場を開く。だが、苦労の末に仕上げたメガネが「売り物にならない」と卸問屋に突き返され、資金難から銀行の融資を受けるも厳しく返済を迫られ、兄弟は幾度となく挫折する。そんな二人を信じ、支え続けたのが、決して夢を諦めない強い心を持つむめだった。彼女に励まされた兄弟と職人たちは、“最後の賭け”に打って出る──。



【ここがいいね!】
鯖江を中心として日本や世界に広がった福井のメガネ。その一大産業となった福井でのメガネづくりの起こりを描いた本作。
畑や田んぼしかないある村から、時代を先取るものづくり精神や、未来を見る意識など様々な想いが込められた作品でした。
出演されている俳優の方々も非常に魅力的で、むめの旦那さん、そして増永家の当主である五左衛門を演じる小泉孝太郎さんですが、一番最初テレビに出てきたときは非常に爽やかな俳優さんでした。しかし、今回は一族の長として、かなり重厚感ある役どころでしたし、一族を背負うプレッシャーに苦しむ姿を豊かに表現されていました。
他にも津田寛治さんや、佐野史郎さんなどとても個性的な光る演者さんが揃っていたと思います。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
7年を費やして、福井のメガネを全国区に押し上げていくところまでが描かれている作品ではありますが、個人的にはその後のお話も少し描いてくれると良かったかなと思います。
特に、森崎ウィンさん演じる幸八が持ってきたメガネをかけて喜んだツネが、あの後どうなっていったのかというところを描いていくと、福井のメガネの発展と一人の女性の成長というところにもつながっていくのになと思いました。



【ざっくり感想】
世界にも様々な伝統工芸はあるわけですが、一番最初っていうものはやはり戸惑いや不安、お金の問題など、様々なものがありながらも、そこに希望を見出す人々によって、今ここまで続いているのかなと思います。
そして、これから生まれていく工芸や文化も同様なのかなと思いました。
非常に胸が熱くなりますし、心が温かくなる作品でした。
ねむろう

ねむろう