Ryoma

私がやりましたのRyomaのレビュー・感想・評価

私がやりました(2023年製作の映画)
4.0
“殺人“の犯人を巡るミステリーなのだが、シリアスさはほぼ感じさせずコミカルに振り切っていたように感じた。その作風やポップで軽快な音楽、クセ強などこか憎めない愛すべきキャラクターが織りなす会話劇、現代にも通ずる富や名声に目が眩む彼らの考えを皮肉っぽく詰ったブラックユーモア溢れる描き方などから、思いのほか多幸感や清々しさを感じたままエンディングを迎えることができた。コミカルな作品の中にも、“フェミニズム“や“汚職・賄賂“など、社会的メッセージが込められているのは、純粋にフランソワ・オゾンという監督の凄さなのかな。これまで様々な角度から“ジェンダー“を描いてきたオゾン監督。本作でも“女性の権利“や“男性優位社会“など女性の社会的立場という観点から“性“について触れられていて、現代社会の実情を投影したような脚本が良かったし、シニカルにさも今の社会を嘲笑うかのような皮肉たっぷりな描き方が爽快かつ最高だった。
それにしても、イザベル・ユペールの役は群を抜いてクセが強過ぎて面白かった。
Ryoma

Ryoma