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私がやりましたのmanacのレビュー・感想・評価

私がやりました(2023年製作の映画)
3.7
お洒落でウィットなユーモア溢れるおフランス映画
鑑賞後に知ったが、オリジナルは舞台だそうでそちらを映画化したそうな。
うんうん。舞台っぽかった。
舞台は1935年。当時を思わせるクラシカルなタイトルバックが心地よく、クラシック好きのハートをがっちりキャッチ。

★★★☆☆ストーリー
基本出てくる男性陣は皆おバカキャラ。
殺人事件の容疑者となった無名女優マドレーヌを有罪にするためにハチャメチャな屁理屈を展開する。
マドレーヌの恋人アンドレに至っては、純真無垢な笑顔で「生活の為に金持ち令嬢と結婚するから君は愛人に」等と抜かす真正おバカ。
アホかと思うがどこか憎めない描かれ方はさすがコメディ。
そんな男たちに対抗するために新米弁護士のポーリーヌは罪を認めて正当防衛を主張するトンでも作戦に。
こっちはこっちでハチャメチャ展開だが、コネも財力もない当時の女性にとっては無実の主張等それこそ馬鹿げたことだったのかもしれない。
テンポよく話が進み、軽いタッチで気軽に観られる展開だが、当時の女性の地位の低さを風刺したようなユーモアが効いている。

★★★☆☆ファッション
1930年代の女性のファッションはウェストにくびれを持たせ、なだらかにボディラインに沿った緩いマーメードラインが主流。女性のパンツスタイルが取り入れ始めた頃。骨スト優勝時代。
主役の二人が成功すると金銭的に余裕ができて衣装もグレードアップするわけだが、貧乏時代の衣装も地味ながらエレガントなシルエットが素敵。
女優のマドレーヌはファーをあしらった優雅で女性らしいスカートファッション、人気弁護士となったポーリーヌはパンツスタイルでスタイリッシュに変貌している。
また、マドレーヌが演じた舞台では、ストンとしたストレートなシルエットのワンピースにロングネックレス、ショートボブのヘアスタイルは少し前の1920年だが舞台なのかな、これも素敵。ちょっとしか見られないのが残念。
過去の大女優オデットの衣装はファーや羽飾りを大胆にあしらったドレス。帽子も大きめ。大ぶりなアクセサリーで全体的に派手め。さすが大物イザベル・ユペールが演じるだけあって全然負けてない華やかさ。

★★★★☆美術
街並みも家具も壁紙もコーヒーポットでさえ全部可愛い!
刺繍のされたソファや青い真鍮のベッドとか、女子の憧れではないか。
ただ画を眺めているだけでも気分が上がってくる。



古き良きクラシック映画へのリスペクトが感じられる作品でした。
ラストの新聞記事で登場人物のその後が語られる手法もお洒落。
最期にモンフェラン事件の新証言が出たって記事があったけど、2作られるのかしらー。
凄く観たいけど、この作品はここで終わってるから気持ちいいんだよね。
白雪姫もシンデレラもウェディングドレス着てめでたしめでたしだからいいんだよ。ママ雪姫の子育て奮闘記とか嫁デレラと姑バトル日記とか見たくないじゃん?別に。
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