kazマックスグローバーレッド

キングダム エクソダス〈脱出〉のkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

4.0
『キングダム』のドラマを見た夢遊病の老婆カレンが物語の終わり方に不満を抱き、自分で解決すべく巨大病院キングダムへ乗り込む。キアヌの仮想現実映画しかり、時を経て制作された続編はメタ構造がお好きなようで。『キングダム』同種ドラマ『ツインピークス』の続編はメタではなかったけれど、ドッペルゲンガーにフクロウと似たような要素が。あのフクロウはルーシーって名前なのね。

オリジナルキャストが結構亡くなったからどうなることやらと思えばヘルマーの息子が登場し、マッツの兄ラース・ミケルセンやステランの息子アレキサンダー・スカルスガルドも出演。もちろん存命キャストも再登場です、ヤッホー。皿洗いキャストは一新して相方は最先端演者に。

夢遊病のカレンお婆ちゃんは『イディオッツ』でやはりカレン役を演じた女優さん、綺麗な人はお婆になっても綺麗だ。

ウドちゃんの異常な成長ぶりやアイツの目玉スコープなどなど度肝を抜かれるシーンの数々、やっぱトリアー監督ってビジュアルが天才的に狂ってるわ。

ある出演者の女性は台本を3回読んでも意味不明で監督に意図を確認したら「彼女はドナルドダックだ」と言われ、ある俳優は「何なんだこの話?!」と理解不能。大丈夫、このドラマ、理屈じゃないんです(なんかスレッジハマーみたいだけど)


トリアー監督自身は母親からずっと自分はユダヤ人だと教えられてきたのに母親が亡くなる直前に「実はお前の父親は別の人でお前はユダヤ人じゃないのよ」と告白された過去があり、母親を物凄く憎んだそうな。故にあのシーンは興味深かった。
そんな影響があってかどうかは定かじゃないけどカンヌ映画祭でヒトラー共感発言したり、母親が悲惨な目に合う映画を沢山撮ったりとトリアーも色々と思うところがあるんだ。でも母親が息子を愛する描写も結構描いてるし、トリアー自身抗ってるとこもあるのかなぁ。だからあのキラーワード「善も悪もあることを心得よ」が意味深よね。