ブラウンソースハンバーグ師匠

キングダム エクソダス〈脱出〉のブラウンソースハンバーグ師匠のレビュー・感想・評価

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カレンパートは、カレン自身が未完のドラマにフラストレーションを募らせた視聴者の代弁者であり、視聴者はそのカレンと肩を組むようにしてキングダムの世界に介入していく構造となっている。
その為、前作のドルッセ夫人と比べ、カレンの行動動機が明確で、各話ラストのクリフハンガーも強い印象がある。
ヘルマーJr.パートも、前作で頻発した不条理笑いよりも、時事ネタがあざとく登場する。しかも、父のデンマーク嫌いという遺産を息子が相続するかのように、とばっちりとも言える洗礼を受ける。可哀想すぎるだろ。

いずれにせよ前作よりも、格段に観やすい作りになっている。
だけど、この監督に限っては「果たしてそれでいいのか!?」と物足りなさを感じてしまう。エンディングでも、監督が老いを自覚しながらも自意識をこじらせ続けた結果、何とも言えない登場をしている。

と思っていたら、最終話でそれらを見事に覆す。
このドラマの分かりやすさは、最終話のフリのようでもあり、ヘリコプターにて君臨するサプライズは最高のファンサービスだ。
監督自身が言うように「以前のように生意気ではなくなってしまった」のかもしれない。でも全然丸くなっていない。監督の復権を願ってやまない。