半兵衛

タクシー野郎 夜の淫花の半兵衛のレビュー・感想・評価

タクシー野郎 夜の淫花(1977年製作の映画)
2.9
タクシーの運ちゃん(野上正義)がエロ絡みのトラブルに次々と巻き込まれる一日を描いた艶笑ポルノ。

山本晋也作品らしくカメラや照明で映画を語るのではなく、カメラは置きっぱなしでその枠を役者がハイテンションになって動き回るスタイルにくだらないギャグを交えた出来事がバラエティーショウのノリで相次いで起こり、いずれもくだらないオチがつく。

今見るとしょうもない内容なのだが、エロと笑いというかつてのストリップショーの合間に行われていたコント(その中から有名人も多く輩出されており、特に初代おいちゃんの森川信がそこでの演技を無頼派作家坂口安吾に高く評価されていたりする)のような味わいを感じて悪くない。主人公が様々なエピソードで良い思いをするのではなく、痛い仕打ちにあったりと散々な目になるところも人生の悲哀があって良かった。

ラストは随所に登場する謎の美女をめぐるファム・ファタールものになりそうなところで、女をめぐる争いが喧嘩へと発展してなぜかお互いの車をぶつけ合う行為へ発展するのが軽い喜劇の作風に似合っている。でも車の破壊という非日常行為が快楽になっていくのは映画としては正しい行為で、その先には胸のすく爽快感が。そして演出も他のシーンよりも凝っていて、監督の気合いの入り用がわかる。

ゲストで『未亡人下宿』シリーズのあの人が、フリーダムすぎる演技で場をさらっていく。

それにしても犯罪行為をしていた若い女性を脅迫して性行為へという流れは今も昔も男のエロ妄想には欠かせないな。
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