ハル

花腐しのハルのレビュー・感想・評価

花腐し(2023年製作の映画)
3.7
ひょんな事から出会った二人が意気投合し、昔の女について語り合うお話し。
付き合っていた時には真意の掴めなかった言葉や行動はこういう過去があったからなのか…と、栩(綾野剛)の中で少しずつ朧気だった輪郭が実体化していく。
ずっとわからなかった事が分かるというのは、良い事よりも苦しい事のほうが多いよね…
しかも、栩の場合は自分と同棲していた状態だったのに突然彼女と親友が心中したと告げられたわけで。
20代の時に付き合っていた伊関(柄本佑)と30代の時に付き合っていた栩、二人の会話が深まり最後の瞬間…話していた女性が同一人物だったことがわかるというもの。

エンドロール間際の栩の表情が全てを物語っていたと思う。
祥子への未練と後悔、情念そのものを集約し、ワンカットで映し出す綾野剛はとてつもない役者だ。

ちなみに本作はR18指定なのでバンバンSEXシーンが出てきます。
荒井晴彦監督の作品なので、それはもう正常位から騎乗位からアナ…いやなんでも。ご覧になってお確かめください。
しかし、さとうほなみの躍進は凄いね。
瀧内公美の後継というか、芝居力があるのに脱ぐことに抵抗がない女優はとても貴重。
今後もオファーが絶えないだろうな。

そして、最後に少し付け足すと作品最大の見どころはラストに流れるカラオケシーンです(あくまで自分的に)
山口百恵の名曲『さよならの向う側』のデュエットが最高すぎた。
むしろ、本篇よりもあそこだけ繰り返し再生したいくらいの出来。
最初はやる気のない感じだったのに、途中からテンション上がっちゃって声量も熱量もフルボルテージになっていく綾野剛の本気を是非劇場でご覧ください。
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