いち麦

花腐しのいち麦のレビュー・感想・評価

花腐し(2023年製作の映画)
4.0
祥子(さとうほなみ)はなぜ心中自殺してしまったのか、同棲していた男・栩谷(綾野剛)が彼女の死を顧みるドラマとして見入った。行き詰まっていく男2人と女1人の恋愛模様が過去を振り返りながら紐解かれていく。栩谷がやり直したい過去よりも、祥子がもう一度戻りたい過去のほうがもっと前だったように読み取れる終盤の映像表現にはハッとなり、幻影を見る栩谷を切なく感じた。ただ、伊関(柄本佑)が栩谷をすんなり自室へ入れてしまうのには少々不自然な感じがした。

荒井晴彦監督はロマンポルノを作ってきた方なんだね。昨今ポルノ映画が撮られなくなった状況を嘆き悼む心が滲み出ていた。性交描写が容赦なくリアル。それにしても執拗なくらいに長い。アブノーマル・セックスもあるし所々暈しも掛かる。その場面だけは演じる俳優さんたちを慮ってしまい物語から気が外らされてしまった。
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