さくぞー

首のさくぞーのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ねぇッ見て。取ったよ「首」ッ!
ワ…!
これで「取り立てて」もらえるねッ!(ブズ)
…え?痛いよ…痛……。
ドサッ
フーッフーッフーッ 終

『アナログ』と並べることができてご満悦。
世界のキタノ映画を初めて映画館で観られる喜び。毎度ながら合わなかったが楽しかった。所々セルフパロディとかアドリブもあって自由。

自分の知識内での新解釈は弥助の信長殺しくらいかなあ。もっと新しい戦国史が見れると思ったので残念。映画賞戦線に殴り込むかと思ったが加瀬亮の助演男優賞くらいしかなさそう。たけしの年齢含めて30年前だったら…感。

とにかく浅野忠信と桐谷健太がかっこいい。桐谷健太は抑え目の演技の方がいい。冒頭の引いてる官兵衛のカット好き。
たけしが若けりゃなあ…と思ったが、西島秀俊・遠藤憲一・浅野忠信・加瀬亮・中村獅童は今のキャリアと年齢じゃないとという感じもある。たけしだけ30年前になってくれ。
家康も流石に歳取りすぎだが、小林薫の演技力で他より穏やかだが狸といった感は出ていた。
半蔵が忠勝と合体させたようなキャスティングと有能さだった。まあみんなイキイキしてて良かった。
登場人物の造形は、本人の言う「綺麗な戦国時代劇にしない」という通り全員悪人。しかしそれぞれの生き様に嘘はないといったバランスで好感。

キャスト以外も金かかっててバイオレンスもあるので映像としての見応えはある。しかしレジェバタに毛が生えたくらいしか合戦シーンがないので、キングダムに慣れてしまうと少し…。
「やさしゅう殺して〜」「俺は妬くぞ!」などセリフの生感やキレは安定のたけしで◎。
音楽にやたら奥行きがあった。冒頭と安土城の会議シーンで信長が無茶振り&ダル絡みする場面で「ヴヴヴヴヴ…」みたいな音入ってたけど仕様?

ストーリーもタイトルの割に「首」感がない。みんな首首言うけど、首があることによる恩恵が描かれない。もちろん知識として首が必要なことは知っているが、タイトルに冠するなら描くべき。一生懸命戦って首ひとつ持って帰ったモブと横取りして沢山持ってきた茂助に与えられる恩賞の差とか、信長の首がないから光秀らが生きてるかもと怯えるシーンとか。
オチもそれまでみんな拘ってた首を秀吉がどうでもいいと言って面白いはずなのに、それまでの首たちの扱いがいつも通り過ぎてヌルッと終わった。あとたけしの喋りが厳しいので締まってない。

とにかく他のキャラを脇に下げて茂助と秀吉をメインにした方が首が際立ったんじゃないかな。
首により秀吉に続き躍進する茂助。しかし首に拘るあまり最後は自分が首になり秀吉には「別に首とかどうでもいいわ」と蹴飛ばされる的な。
今年公開された全映画の中で一番チューする。

映像:======A
脚本:====C
編集:=====B
俳優:======A
人物:======A
音楽:======A
音響:=======S
【MVP】黒田官兵衛
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