藍紺

首の藍紺のレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.9
北野武流、戦国乱世解釈、興味深く鑑賞しました。

加瀬亮さん演じる信長、良かったなー。血管がキレそうなくらい顔を赤くして怒鳴り散らしたかと思えば、けたたましく笑ったり。信長好きな人って物凄く多いけど、エキセントリックで狂ってて現世で生きてたら絶対近づきたくないタイプ。病院に行ったら確実に病名がつくんだろうし事実病んでたんだろうなと思う。でもそんな信長の下だからこそ秀吉は重用され後に天下人になるわけで……、つくづく史実は面白いというか秀吉の強運っぷりは凄まじい。

芸人として数多の男達に憧れられ愛されてきたビートたけしはきっと信長っぽい人なんだと思う。回りの熱狂をよそに心中は物凄くドライで冷酷、世の狂乱を醒めた目で見てるんだろう。劇中、信長に言わせた台詞の一つ一つがたけしと重なった。と同時に秀吉も家康もやっぱりドライなんだよなー。この二人の要素も確実にたけしの中にあるんだろう。“人間生まれてからずーっと遊びだわ!”信長の言葉が突き刺さる。儚さを感じる能のシーンも好きだった。

秀吉、秀長、官兵衛の三馬鹿トリオのやり取りに既視感があって何だろうかと考えてたら子供の頃に観てた「風雲!たけし城」だったw アドリブが多そうでなんかヒヤヒヤした。大森南朋さん、ちょっと素で笑っちゃってたけどw

ノンフィクションなのだから何でもありでいいと思うが、ただ信長秀吉家康の歳の差は史実に近付けてもらいたかったかな。加瀬亮に合わせて他の二人も配役して欲しかった。じゃあ誰がいいんだと言われると全く見当がつかないのだけど……。

北野作品、実は『 アウトレイジ』シリーズだけ観そびれてるんだけど、観てみようかなという気持ちになった。初期作が好きな私でも楽しめるかな?
藍紺

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