スキピオ

首のスキピオのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.0
最近の漂白された大河ドラマへのアンチテーゼなのかな。戦国や戦争って本当はこういうグロテスクなものでしょと。

構想30年とか聞いてハードルをブチ上げちゃうとあれだけど、普通に北野監督作品群の一本として考えると全然アリ。別に最後ってわけじゃないしね。予告のシリアス一辺倒な感じとは打って変わって、シニカルだったりコメディ的な部分は多いけれども「こんなの”コント”だろ!」ってほどふざけてたり、いいかげんな作りではないし、至って真面目に作ってるなと。編集もブツ切りみたいに言われるけど、話も普通に繋がってたしなぁ。

ただ、賛否両論ってほど話に意外性は少ないというか、正統派というか。あと衆道シーンは、ほぼストーリー本筋に関わってこないので「浮いてた」かな。

ドラマの盛り上がりは弱いのかもしれないけど、北野武監督だからできる出演俳優の豪華さだし、戦国舞台では避けられない合戦シーンに予算不足感は感じなかったし、静と動の緩急はついていて、観て損は無いと思う。

“首”に興味がない天下人秀吉であり、半分芸人で飄々と戦国を渡り歩く忍者(木村祐一)であり、侍大将になりたくて首を求め続けた下級侍(中村獅童)であった、ビートたけし。他にもたけしはいたかな?

観た後も”首”ってなんだったんだろうなと考えてしまうって事はいい映画だったんだろうな。