このレビューはネタバレを含みます
『首』おもしろかった〜！
歴史上の人物に極度にヒロイックな解釈を持たせるのが嫌いな自分にはとてもよかった。
直前に仁王2というゲームにハマっていて、ストーリーでガッツリ秀吉とか本能寺辺りをスーパーカッコよく語られてたところだったので、はからずも超分かりやすい歴史解釈の裏表みたいな印象になった笑
内容は身も蓋もないけど、戦国版アウトレイジ。
みんな大好きな武将さまたちが極限までコケにされる２時間。
秩序を保つための規範の中で、それを意のままにするために権力に固執するという本末転倒さ。
衝動的で醜悪な行動を愛だ立身出世だ天下統一だのと言い訳がましく色づけする馬鹿馬鹿しさ。
あっけなく訪れる無様な死。
そういった情けない死さえ、首級を挙げるという行為で意味づけしようとする傲慢さ。
首は首だろうが！というシニカルな笑いと、とはいえ人間ってそういうものだろうという生暖かい目線が混在していて楽しく観れた。
人間の業の浅ましさと馬鹿馬鹿しさを詳らかにした上でそれを笑い飛ばす。
こういった点に、北野監督の考えるコメディの真髄があるのでは、と思った。
また題材が「歴史」という、極道のような特殊な社会よりも触れやすい題材なので、こういうのが世間の常識だったんだよな〜、と足元がぐらつく気分にもなる。
いわんや今の世の中をや、という。
表面的なセリフやエピソードは、ヒロイックな歴史ドラマと大差ないのに、どうしようもなくカッコ悪く思えるの、ほんとすごいと思うな
キレッキレの加瀬亮とかわいそうな荒川良々はワロタ
