TakaCine

首のTakaCineのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.8
【豪華な時代劇コント】
どいつもこいつも外道ばかり、天下(首)を取るための茶番が笑えました😁

題して「北野流本能寺の変」であり、「戦国ヤクザ」であり、そして「時代劇コント」でありましたね🤔

《綺麗とグロいの対比》
まるで黒澤映画の時代劇らしい美しく豪快なルック(風景や合戦)と、これでもか!と生首ゴロゴロのグロさが型破りで面白い😁

『七人の侍』(1954)と『蜘蛛巣城』(1957)に、『スリーピー・ホロウ』(1999)がない交ぜになった感じが自分好み😍

首首首首首…首がいっぱ~い

ただ斬首の場面が幾つか出てくるのですが、鮮血が赤すぎるのが嘘っぽくて…少し興醒めしちゃったかな(観客が引かないくらいにしたかったのかも?)😰

ある切腹場面の静かに青く光るさざ波シーンが一際美しくて、そこで静粛に行われる切腹の展開が、なぜかコントすぎて笑えて仕方なかったです😁

劇ドラマでは誤魔化して描く斬首の場面や、侍の死を美化する演出はむしろ皆無で、死を呆気なく不本意に描くところが異色でしたね。

織田信長が凝視しながら涙する能(観世流『敦盛』)の場面は、ちょっと身震いするくらいの幽玄さや不気味さが素晴らしかったです 👏

《狂気と笑いの対比》
北野武のシニカルな視点が光ります。

群雄割拠の戦国の世で、出世欲と愛憎にまみれた男たちの姿。

キャラクターの特異さが面白くて、特に織田信長(加瀬亮)の武将とは思えぬ破天荒ぶりが、あまりに意表を突きすぎて衝撃😰
『アマデウス』(1984)における、神童モーツァルトのクズぶりに勝る衝撃💥

加瀬亮の頭のネジが外れた演技が天晴れでした👏

あの織田信長に仕える家来は地獄ですなぁ~😱💦

そりゃ、殺したくもなるわ😡

羽柴秀吉(北野武)はさすがに見た目の年寄り感、タケシ100%な台詞回しが違和感ありありですが、タヌキおやじ的な腹黒さは漂ってましたね。

ただ羽柴秀吉、羽柴秀長(大森南朋)、黒田官兵衛(浅野忠信)の3人シーンは、まるで「戦国コント」にしか見えないユルユルさ😁(本人たち演じてて笑ってるしw)

なんだか、昔の「殿=ビートたけし」と「たけし軍団」のコントを見せられている気分でしたもん😚💨

なかなか死なない刺客、斎藤利三(勝村政信)と服部半蔵(桐谷健太)の香港映画ばりな超絶アクション、呆気なく死ぬ身代わりのシュールさ…でもやっぱり、曽呂利新左衛門(木村祐一)のバラエティーそのままの「キム兄」らしさが1番笑った😁(しかも、いい役ですね)

狂気と策略と陰謀が渦巻く世界観にも関わらず、随所に笑いを散りばめるところが、北野武らしくてニンマリ😁

冒頭、タイトル「首」のグラフィックから笑ってしまいました😁

それ故、この作品は「笑っていいんだ!」と理解しましたが、首がスパッスパッと飛びすぎるから…複雑な気持ちで笑ってました😅

真面目な明智光秀(西島秀俊)と荒木村重(遠藤憲一)は、いかにも時代劇らしい悲哀が籠った沈痛な演技。

それを笑い飛ばすように、外道どもに好き勝手いたぶられて…

極めつけは、ちょっと生々しい「衆道(男色)」の描写。大島渚の世界観を思い出しました。

戦国の世は、今までの時代劇で描いてきた「格調高く」「悲哀に満ちて」「悪を成敗する」といった"綺麗事"より、もっとドロドロしてて、ぶっ飛んでて、武将も農民も血眼で「首」を取ることに奔走し、出世と色情に溺れた男だけの世界…

これはR15+になりますね。
万人受けは難しく、賛否両論は避けられないと思いますが、「本能寺の変」に新しい切り口で挑む北野武の勇気が天晴れでした!

首で始まり首で終わる

最後の「首オチ」
これがやりたかったのね😁
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