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首のmitzのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.0
説明不要の北野武監督による「本能寺の変」。
一部では神格化されることも珍しくない織田信長というコンテンツの新説。かと言って歪曲された解釈ではなく「そうだったかも知れない」と思わせる説得力があります。同時に謀反を起こす明智光秀に対しても反逆者としてではなく、担がれた男としての描写も斬新。そして射倖心の強い豊臣秀吉や常に飄々とした掴み所のない徳川家康など、それぞれのキャラクターが立つ優秀な群像劇です。
映像作品としても、CG依存の少ない合戦シーンの迫力と「アウトレイジ」を彷彿とさせる血の量、そして討ち落とされる首の数々、躯の山。腐敗した家父長制と僅かなコメディ要素。緊張と緩和のバランスが取れた娯楽性の高い作品です。
ただ本作は明智光秀にフォーカスされるため「本能寺の変」以降ラスト30分のピークアウト感が否めない竜頭蛇尾な印象が残ります。
そして相変わらず西島秀俊の演技は見ていられません。最後まで加瀬亮の独壇場であれば良かったのに。
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