ゆりな

首のゆりなのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.4
今年一番よかった映画は「生きる LIVING」に贈りたいのですが、次点こちら。
そんなことある?

その次が「アステロイド・シティ」で、今年のベスト映画は、生死についてがたまたま多かったんだけど、本作は人はバッタバタ死ぬけど、生死がどうとかではなく、バイオレンスコメディ。
IMAXで必ずや、もう一度観たい。

まず、冒頭。
「首」のタイトルが出るまで、文字通りたくさんの首が出てきて、文字ベースの時代説明も民法テレビじゃ見ない色彩とメリハリで、そのセンスだけで惹き込まれる。
「ミッドサマー」の3倍グロかったと思うのですが、冒頭のおかげで、私たちもこの時代×武の世界観に慣れることができる。

キャスティングはまぁどの人も見たことあることあること。
公式サイト公開の時点で、ゲームのキャラ紹介と並べる圧で笑ったw

蓋を開けてみると、千利休の岸辺一徳と般若の寺島進とか、大御所たちの「最強感」が強すぎて、これは日本人だからこそ楽しめたなと。
一方でフルボッコにされる西島秀俊にうぅ……ってなったり、加瀬亮もついにそっち側いくくらい歳取ったな、と思ったけどもう50歳なの?
キム兄ももう60歳だし、本作の平均年齢の高さよ。(笑)

西島秀俊がいい体しているのなんて、「ドライブ・マイ・カー」から分かってたけど、やっぱすごいな。
そして、ここにきてのBLは度肝抜いたよね。武作品で初。
ただ女性が出てくることで、変な色恋とか無駄なシーンがなかったから、BLでむしろよかった。

私たちは史実を知っているから、誰が死んで生き残るか分かっていても、2時間ずっと手に汗握りっぱなしだった!
私は武作品が好きなので、元々公開されたら絶対観ようと思ってたけど、本当にFilmarksの星とか前情報入れずに観に行って正解だった。

史実を知っていても、本能寺の変での織田信長の「首」は、えっ!となったし、もっとシーンあったらしいけれどカットされたそう。

ラストのトンチのような結末に、えー!となったけれど。
公開前から公式サイトで掲載されていた武の「首がなければ死んだことにならないとする信長や光秀たちの世界と、首なんかどうでもいいと思っている百姓上がりの秀吉の世界がある」に納得。

改めて思うと登場人物、みんな違った「狂気」でしたね。
織田信長のバイオレンスな狂気、羽柴秀吉の悪知恵な狂気、徳川家康の飄々とした狂気。

P.S.大杉漣がご存命だったら、光秀か荒木だったと思うんだ。
ゆりな

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