人によって変わる、人に拘泥し続ける諸行無常な世の中を首というキーワードのもと描いた痛烈にアイロニカルな一作。
最後の最後でああそうやって見ればいいのかとこの映画の見方がわかった気がしている。
舞台は本能寺。歴史的な事件はおよそそのままに登場人物たちの性格描写が今までにないものになっているように思う。
北野武の映画を沢山見てきたわけではないが、この作品が1番自由にやっているように思うし、芸人ビートたけしの思う笑いも織り交ぜられていたように思う。あれ、笑ってたよね?ってのがチラホラある笑
その分相当に現代風過ぎて時代劇と見るのはなかなか難しい気もする。
ただ、人間の浅ましさというか、時代が違えばそれが当たり前だったのだろうという今で言えば野蛮とも冷酷とも愚かとも取れる人間模様と残虐性には目を背けたくなった。
そのなかでもやはりこの時代に当て嵌めても恋愛や妬み嫉みというのが原動力にあるのかと納得できるものもあった。
今回の秀吉は百姓の出ということが前面に押し出されておりそこからくる時代の常識を都度ごとに嘲笑っていって馬鹿馬鹿しいと罵っていく。
終始執着してそれを求めて行ったのに最終的にそんなものどうだっていいんだよって蹴り付けるその皮肉には震えた。そうくるかー!!って。
ただ、そこに至るまでの道のりに感情が乗り切るまでに時間がかかり過ぎた。それはわざとなんだろうけど、役者の演技に特有の臭さがあってそれに合わなかったからだと思う。
それは冒頭に書いた作品の精神性みたいなものを感じ取れたら払拭されるものだし、2回目は面白くみれるのだろうけど、周回しないと面白さを取れなかった自分にはそこまでハマらなかったということでスコアは低めかなー。
まつもtoなかいで語った『振り子』の話が効いてる気がして見ておいて良かったと思った次第です。
※スクリーン9はEFあたりの12がちょうど良い。
今後映画館どんどん行くようになるのでスクリーン情報もメモっていこう!