このレビューはネタバレを含みます
ビートたけし監督作品を初めて劇場で鑑賞した。
初期作品もあまりきちんと見たことはない。
テレビでは放送出来ない内容の映画。
たけしが「世界の北野」をありがたがる映画評論家、信奉者たちを気にせず、この映画で全力で真剣にふざけている感じがとても良かった。
秀吉が明智光秀をそそのかしたと言う仮説の下で、今までになかった戦国武将の人物設定とバイオレンスに満ちた描写によって、過去に描かれた美しい戦国ドラマとは一線を画し、結局権力欲と性欲しかないドロドロした人間臭い醜くて臆病な戦国武将を赤裸々に描いている。
冒頭の死骸の首に蟹🦀が群がるシーンや最後の首をサッカーボールのように蹴るグロ描写を受け付けられない人も当然に沢山いるだろう。
劇中の秀吉と秀長と黒田官兵衛のコントも良いし、映画の終わり方は今まで見た映画の中でもかなり好きな方かも。
全編笑わせながらも戦国武将の狂気を描いているが、特にラストシーンを見て、笑いと暴力、人間の強欲さは紙一重だと感じた。
✳︎ 米澤穂信の「黒牢城」を読んで荒木村重と黒田官兵衛について多少の予備知識はあったが、さほど予備知識なくとも楽しめると思う。
ちゃんとした歴史映画を見たい方々はこの映画は見ない方が良い。