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首のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.7
織田信長(加瀬亮)は天下統一を掲げ、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい戦いを続けていた。
その最中、信長の家臣・荒木村重(遠藤憲一)が反乱を起こし、姿を消す。
信長は自身の跡目相続を餌に、羽柴秀吉(ビートたけし)、明智光秀(西島秀俊)ら家臣に村重の捜索を命じる。
秀吉の弟・秀長(大森南朋)、軍司・黒田官兵衛(浅野忠信)の策で村重を捕らえ、光秀に引き渡すが、なぜか光秀は村重を殺さず匿う。
実は、明智光秀と荒木村重は、戦で命を預け合った者同士の契り合った絆があった。
村重の行方が分からず苛立つ信長は、思いもよらない方向へ疑いの目を向けるが、それはすべて信長の跡目を狙った羽柴秀吉により仕組まれた罠だった……。
さらに、羽柴秀吉の配下として数々の謀略をこなす元忍者の芸人の曾呂利新左衛門(木村祐一)や侍大将になることを夢見る元百姓の難波茂助(中村獅童)の運命は、仁義なき天下取りの争いに翻弄されていく。
北野武が原作・監督・脚本・編集・出演を務め、本能寺の変を独自の歴史観で描いた時代劇。
暴虐非情な織田信長の移り気な無茶振りに、神経をすり減らして自らの保身と天下取りの野望の為に羽柴秀吉や明智光秀や徳川家康が、織田信長の跡目を狙って味方のフリをしてお互いに刺客を放ち命を狙い合う謀略戦が、映画史に残るぶち切れた織田信長やズル賢いけどどこか間抜けな羽柴秀吉やとことん野望を隠し抜き自分が生き残る為には影武者を使い捨てまくる徳川家康や恋愛脳過ぎる荒木村重など大河ドラマでは決して描かれない俗っぽい欲望とズルさを秘めた戦国武将だけでなく、手柄首を挙げる為に仲間を殺して大将首を奪う難波茂助や羽柴秀吉の配下で謀略戦に手を染める曾呂利新左衛門などの百姓や忍者も、天下の潮目を見て生き延びる為に裏切り欲望まみれな人々のせめぎ合いと戦国武将同士の衆道の三角関係の痴話喧嘩とサドマゾ的な支配関係がドロドロに絡み合い、黒澤明的な戦国合戦スペクタクルに加えて、羽柴秀吉と羽柴秀長と黒田官兵衛のスリーアミーゴス的なテンポいい漫才のような掛け合いやブラックユーモラスな味付けもあり、戦国時代版「アウトレイジ」でありビートたけしの戦国コントでもあり、北野武監督の集大成的な戦国スペクタクル映画。
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