ウォン・カーウァイ作品で未見だった「愛の神、エロス」の中の一話を独立して映画化。エロティックさは従前の作品より格段に高く特に「手」をなまめかしく描いたシーンが非常に多いのが意外だが、それでも主人公である女と男のほとばしる感情が言葉そして言葉にならない画の中の空気として無駄にされることなく完璧に描かれる構図は健在で、わずか1時間弱ながらも彼の映画の全盛時に通ずる「他人の心の中を旅する」ような感覚は十分に味わえた。主演2人が何より秀逸なのだが、中でもコン・リーの前半と後半での「同じ想いを内に秘めたままの変身ぶり」が圧巻だったわ...