ヒカル

キリエのうたのヒカルのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
3.5
邦画実写は庵野さんと映画好き系の評判作しか観てませんが、水星の魔女のシーズン2エンディング曲でアイナ・ジ・エンドさんのにわかファンになったので貞子以来4年半ぶりに自分意思のみで劇場へ(アイナ・ジ・エンドさんはCHARAや椎名林檎のポジションを狙える素材と思ってます。)

尚、岩井俊二監督作はスワロウテイル以来約30年ぶりに鑑賞することに、スワロウテイルはCHARAの冒頭の中国語・英語チャンポンのセリフやMy Wayなど印象的で劇場を出て直ぐに後のけいおん聖地となる京都三条の十字屋でサントラを購入したことまで記憶しております。(その後岩井俊二作をテレビでもひとつも観てませんが...)

ファンムービーとして鑑賞した私の感想はボチボチでした。鑑賞後感に近いのは全く話しは異なりますがハリー・ベイリーのリトル・マーメイドでしょうか。アイナ・ジ・エンドさんの歌は堪能させて貰い、鳥肌と目が潤む事もありましたが、かなり複雑な構成のシナリオかつ長尺で疲れました。この辺りは原作・脚本・監督を1人でやってる事が問題かと思います。アリスとテレスの岡田麿里さんと同様で、才能だけの問題ではなく自省できるかどうかも問題かと。グレタ・ガーウィグは素晴らしかったケンのダンスシーンでもお客さんの反応を見るまで安心できなかったそうです。

女性客を呼ぶための松村北斗、せっかく出てもらった演技派の黒木華、バディとしての広瀬すず 全部を生かさんと見せ場を用意してどこを削れば良いのか難しいですが、黒木華さんは止めて子どもの時代をもう少し削るのが妥当かと思います。黒木華さんはももクロの映画で百田夏菜子の無茶振りに答える一人芝居でびっくりさせられたので好きですが。

震災ものとして観ても新海誠監督のすずめの戸締まりには遠く及ばないかと思いました。実写で予算が限られており街の風景が通常モードやんとガザの酷い街並みを観ている目にはツッコミどころ満載でした。(津波前は意外と綺麗だったのかもですが津波後の映像しかあまり知りませんので。)

女性客は結構すすり泣いていた様な気もしますので、おっさん向けの映画では無いかもですが、本作ではCHARAに近づく事は難しいと思います。広瀬すずはトリックスターとして光っており、広瀬すずが出てない時間は画面のキラキラ度が下がっており、アイナ・ジ・エンドさんも広瀬すずといるときの方が魅力的でした。震災要素などはカットしてもっとバディものとして特化したら良い作品になってたかもです。

文句ばかり書きましたが、アイナ・ジ・エンドさんの歌は上手かったので劇場で観てよかったです。ファンムービーの歌モノとして満足感はありましたのでオマケで3.5点にしておきます。
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