うなぎネコ

キリエのうたのうなぎネコのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
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【観てから読んだ方がいい】
そもそも岩井作品は、ダメな人はダメですよね。
自分は思春期に「PICNIC」をはじめ短編で雷に打たれて
「スワロウテイル」「リリィ・シュシュ」と順調にfor ME監督として、共に時代を生きてきました。
【参考】
https://filmarks.com/movies/27143/reviews/81597440

・紗のかかったファンタジーのような映像
・開花直前の俳優の魅力を切り取った瑞々しさ
・プラトニックで神聖なGirl meets Girl
そして、吐きそうなほど刺さり、甘い毒のように身体に沁みる音楽…。
(ほぼサントラ持ってる)

上記の「岩井俊二らしさ」に、何度も何度も恋してきました。

本題。「キリエ」を観て、加齢なのか何なのか
今後「岩井作品に恋する事はないかもしれない」と無性に悲しくなり
その理由を掘り下げてみます。(ここ15年くらいの作品を振り返って)

・お家芸である「理由のない暴力が、少年少女を襲う」描写。
正直かつてはコレに興奮していました。(告白)だけど今思うと「理由がない」わけではなく、ほぼ「分からせ」性暴力ですね…
これは、令和の今、大人としてアカン!と言いたい。
本当に必要な「分からせ」描写だろうか?

・エキセントリックで魅力的な女子と
無垢で透明な美少女の「プラトニックで神聖な百合」が好きだったのに、だんだん露骨に俗っぽくなってきてる
(BLもGLも匙加減が大事)

・「スワロウテイル」「リリィ・シュシュ」は絶妙なファンタジー感が、漫画のような「圧倒的ディーバ」の描写に奇跡的にマッチしていた。

アイナさんの歌にも力があるけど、エーテルを感じず。
震災とか妊娠とか、どうしてもリアルを無視できないモチーフがチラつくせいか…? 感性の錆びのせいか?

・謎のイメクラみたいなコスプレとか、変なお面被せたり(リップヴァンウィンクル)とか
実写映画ではチープに見えるキャラ設定

・権力=敵、社会=薄情になりがちだけど、普通に生きてたら
「許可くらい取れよ…」「理不尽で自分勝手な主張すな!」とツッコミたくなる。
ソコで誠実に日々仕事してる大人もおるんやで。
(身内に警察・役所の人がおるので)

・路上、野外の音響感を出すためか、あえてのハウリング&音量レベルも高くて不快。

・「久しぶりだからキレイにしたかった」らしいけど
あの時間にわざわざ風呂に入らせて、妊婦を下着姿でアレさせたの、本当にギュッ…てなった。無理
まさかアレ「ラッキーエロス」シーンではないよな?

という感じです。
「MV」ではないから、手放しで観れないのや。
哀しい
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