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キリエのうたのKOZOのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
4.2
岩井俊二監督作品の独特の世界観が結構好き(と言ってもそんなには観てない。『Love Letter』、『リップヴァンウィンクルの花嫁』そして『ラストレター』のみ。『スワロウテイル』や『花とアリス』とかの代表作もずっと気になってるのだけど、気軽に配信で観る気がせず…)。
印象的なロケ地(大阪編の古墳って目の付け所が凄いな)、ドローンでの美しい風景の映像、雪の質感。何より女子の衣装と映し方。『ラストレター』の広瀬すず&森七菜は忘れられない。

今作もそんな“岩井俊二ワールド”は健在。
そして大阪編以外出ずっぱりの主演アイナ・ジ・エンドにどれだけ感情移入できるかで好みが分かれそう。
個人的には過去作ほどハマらなかったのだけど、上映時間178分、休憩なしでトイレ行きたくなりそうと覚悟してたけど、そんなこともなく長さを感じなかった。それだけストーリーに集中してたのかも。

石巻、帯広、大阪、そして東京と過去と現在を行ったり来たりするのもまだ整合性があれ?というところはあるものの、上手く繋げてるなあと感心。
アイナがなかなかの熱演+歌を聴かせてくれてるけど、岩井監督がとことん惚れ込んだんやろうなあとニンマリ。
コミカルな役+コスプレ七変化?で楽しませてくれた広瀬すずは流石に上手い。
黒木華は脇役で出るならこういう役柄が好き。
岩井監督作品ならではのミュージシャンたくさん。鈴木慶一はすぐわかった。大塚愛って全然わからなかったけど、後で調べたら…ビックリ。七尾旅人、わずかな出演シーンだったけどカッコよかったな。

役者陣では体調不良で休んでた虹郎の復活、カッコいい北村有起哉は嬉しかった。松浦祐也が珍しくまともな役、と思ったら案の定…でも『岬の兄妹』で〇〇〇で凄いことになってたのが岩井監督の作品に出るまでになったのね。
粗品の出演も知ってたけど、あんなミュージシャンいそう。

震災を描いてて、岩井監督の過去作よりもなかなかヘビー。でも切なくかつ観終わった後の多幸感は今作も味わうことができた。エンドロールの映像、めっちゃ好き。アイナが歌うカバー曲、オフコースといえば個人的には「さよなら」はベタ過ぎて避けてたけど、改めて聴くと名曲やね。
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