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キリエのうたのstinalinskyのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
5.0
 雪景色の帯広で、小雨の降る東京で歌うキリエの唄声で始まる。

 物語が進むにつれてキリエの唄声の中にお姉ちゃん、お母さん、お父さん、イッコさんへの想い、フミ先生や歌う楽しさを教えてくれたストリートミュージシャンのおじさん(七尾旅人さん)の姿が透けて見えて来ます。

 最初、夏彦の希への気持ち中途半端に感じて良く分からない所がありました。そう感じたのは希の事を大切に想いながらも迷い揺れる気持ちを松村さんがとても上手に表現されているからだと気がつきました。夏彦もまたキリエの姿を通して希の姿を見て想いを伝えます。そのシーンでとても胸が熱くなりました。

 夏彦と数年ぶりに再会してセッションするシーングッと来ました。夏彦はキリエの唄声を通して強く逞しくなったキリエの姿を見ます。

 キリエ(アイナさん)の踊りがとても美しく、職員の人が連れ戻しに来た不安やイッコさんとまた会えた喜びがすごく伝わって来ました。

 最後のフェスでの憐れみの讃歌にすごく感動して涙が止まりませんでした。アイナさんの唄声が全編通して本当に魅力的でした。

 2回目に鑑賞した時は、もう冒頭の路花とマオリの再会するシーンから目頭が熱くなりました。2回目、3回目と新しく気付く事、感動する所が増えていく映画だと思います。

 また、上映しているうちに映画館に観に行きたいです。
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