エンプティーヘブン

キリエのうたのエンプティーヘブンのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
4.0
路花が亡くなった姉、キリエの名前で活動する。
路花とキリエが一人二役であることから、まるで亡くなったキリエが生き返ったようにも見える。

路花(るか)という名前からイエス・キリストの生涯、教え、死、復活について記録したルカによる福音書を思い出すが、本作の内容と概ね重なる。

キリエがイエス???
うん、そんなはてながあってもおかしくない。
私も本作を観ていて、なぜここまで大袈裟で現実味を帯びてないのか不思議で仕方なかった。しかしルカによる福音書を思い出してから、色々納得できる部分があった。とんでもなく大きいスケールの神話だから、大袈裟で現実味を帯びてなくて当たり前ではないだろうか。

キリエをまるでイエス・キリストのように表現しているような場面はほかにもある。

・キリエの青い衣装への着替える瞬間は儀式というバンドメンバー。

・逸子がおかした詐欺のせいで大変なことになったキリエだったが、逸子を許してくれるなら何をされてもいいというあのシーン。人類の罪の身代わりとして十字架にかかったイエスを連想させる。

・キリエが路上ライブの度に台車で運んでいる荷物の重さを確認して「重いね」と言う3回のシーン。十字架(人類の罪)を背負ったイエスを連想させる。

決して完璧な映画ではない。
しかし歌唱シーンをすべて抜きにしても、価値ある映画だった。