天馬トビオ

キリエのうたの天馬トビオのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
4.0
錯綜する13年の時間と、帯広・石巻・大阪・東京の地理的移動。それらに伴って変化する複雑な人間関係。しかし、映像は美しく、流れるようなカメラワークで長尺3時間も苦にならない。

それにしても岩井監督は女性(少女)を魅力的にうまく撮ってくれるなぁ。加えて本作には、ヒロインのアイナ・ジ・エンドをはじめ樋口真嗣とかロバート・キャンベルとか粗品(霜降り明星)ら異業種からの参加者がいい味を出している。

なかでもアイナ・ジ・エンドの存在感がこの映画のキモ。唄うことでしか自分を表現できない被災者という難しい役どころを見事に演じきっている。路上ライブから野外コンサートまで、繰り返し流れる彼女の歌声が耳に心地よい。とびきりの美少女でもないし、かと言って不思議ちゃんの個性派でもない、セリフの少ない彼女だけど、例えば喫茶店で突然歌い出すシーンなどは感動的。正反対に描かれた広瀬すずとのからみもいい。
天馬トビオ

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