はぐれ

PERFECT DAYSのはぐれのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.4
東京国際映画祭にて。以前から日本とは深い関わりあいを持つヴィム・ヴェンダース監督がメガホンを取った現代の日本を舞台にした作品。

舞台挨拶でヴェンダースが「私には日本の魂がある」と仰っていたがまさにその通り!事前情報なく見せられたら日本人の監督が撮っているとしか思えないほど侘び寂びの精神が宿っている映画!しかもそれは彼が敬愛する小津映画の時代には確かにあった美徳であり時間の緩やかな流れであり風である。まさに俳句や短歌を思わせるような無駄を徹底的に省いた引き算の演出は何の雑味もない深い味わい。銀幕を眺めながら何度も泣きそうになってしまった…

しかしながら時折挿入されるサウンドトラックの使い方や選曲がいかにも彼らしいもので、「あ、そう言えばこの映画はヴェンダースが撮っているんだった」と不意に気付かされる。それもさらに涙腺を弱める一因になるよね(泣)

主演の役所広司が演じたトイレ清掃員の平山は令和の日本に舞い降りた天使。物語が進むにつれて同監督の代表作である『ベルリン 天使の詩』のブルーノ・ガルツと役所広司が重なって見えて仕方がなかった。寡黙な主人公が珍しく雄弁に語る「違う世界に住んでいる」という発言も俗世を離れた天上の住人だからこそ言えたセリフなのかも。

脇を固める石川さゆり、田中泯、三浦友和、皆さん素晴らしかった!特に今作がデビュー作となる主人公の姪っ子を演じた中野有沙。彼女が平山に引けを取らないくらいの天使的な存在で心が浄化された😇

長く暮らしていても殺伐とした街だなーとしか思わなかった東京だけど、ヴェンダースのフィルターを通すとこんなにも魅力的な街に映るんだ🥺。東京暮らしが長い人はマストで見た方いい映画!!

※『東京画』でもそうだったけどホント監督って首都高の造形が好きだよね😂
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