碧

PERFECT DAYSの碧のネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「こんなふうに
生きていけたなら」

フライヤーにある一言。
それに尽きた。

自分には真似出来ないと頭では思っていても、彼を見続ければ見続けるほど「こんなふうに生きていけたなら」という願望が止まらなかった。
実直を絵に描いたような平山という人間にガッツリ憧れた2時間。

なんと言っても、平山の生活をささやかに彩る名曲たちと映像とのマッチングが素晴らしすぎた。
「カセットテープ」という絶妙なスパイス。
Spotifyを店の名前だと思った平山になんの落ち度もない。

何にも染まらない平山をより引き立てるかのようなキャスト陣。
ホームレスの田中泯には痺れた。
適材適所&贅沢使いな安藤玉恵、芹澤興人、甲本雅裕にも唸った。
ただ柄本時生の設定は、もうちょっと若い方がリアルだと思った。

平山という男も紆余曲折あっての今なんだろうと思わせる映像の演出。
ハッキリ見せるのではなく観る側に委ねているのが良い。

妹演じる麻生祐未が父親に会ってやってと言ったけど、うつむいたま首を横に振った平山が凄く好きだった。

スナック以降、平山があまり無口じゃなくなって流れが少々取って付けのような気がしたのと、なにぶんにもヴィム・ヴェンダースという監督と監督独特の世界観や趣きを存じ上げないので、心はかなり満足しているが満点スコアは逆におこがましく。

偶然にも平山と同じ事をしていて嬉しかった木漏れ日。
カメラではないけど私も撮り続けたい。

そして毎朝空や緑を見て微笑み、丁寧に丁寧に生きる平山にあやかりたい。

役所広司という偉大な表現者に感謝。

ツナギの青。
布団の青。
クルマの青。

もう1回観に行く。
碧