IDEAコメント低浮上

PERFECT DAYSのIDEAコメント低浮上のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.8
揺れる木漏れ日、柔らかな光の下
その一瞬を古いカメラに収める。

揺れる電球の明かり、柔らかな光の下
古書店で出逢った文字を追う。

いつも通りだけど当たり前じゃない日常
メガネを外し文庫本の上に置く。
天井を見つめこう思う。
「明日も、明日が訪れますように。」

いつも通りだけど当たり前じゃない日常
新しい苗木をそっと並べる。
盆栽に水をやっているときこう思う。
「明日も、小さな幸せを感じられますように。」

いつも通りじゃなくても当たり前の日常
そんな大切な一瞬を現像しブリキ缶に
そっとしまう。
もう何個目になるだろうか。
喜びで光を放つ缶、涙で錆びついた缶
どれも大切な私の人生。

私はこれからも、
私の手のひらで掬えるだけの幸せを
大切に大切に生きていく。



役所広司のラストシーンの表情が、今作の全てを物語っている。
今作では、役所広司演じる平山の長い人生の中のほんの小さなさざなみを見たに過ぎないがその波の音が彼の人生はどのようなものなのかを想起させる。
「こんなふうに生きていけたなら」
のキャッチコピーがまさに私の心情に当てはまる、詩情あふれる傑作。