TakuoAoyama

PERFECT DAYSのTakuoAoyamaのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

劇中曲「PERFECT DAY/Lou Reed」

静の中の動を描いた作品。

「THE TOKYO TOILET PROJECT」

誰もが使いやすく、快適にと東京五輪を機に改修された渋谷区の17のトイレが舞台。柳井康治氏がプロジェクトオーナーで、安藤忠雄、隈研吾ら世界的な建築家、デザイナー16人が設計。

監督を探す中で建築に造詣が深く、親日派のヴェンダースの名前が上がり、プロデューサーから手紙を送ったことが本作の切欠だと言う。

木漏れ日、小さな芽、トイレの手紙等、我々が見過してしまいそうな小さな日常の出来事を丁寧に楽しむ暮らし。
目覚ましもなく日が昇る前に起床し、植木に水をやり、仕事終わりに銭湯に行き、飲み屋に行き、帰宅して眠気が来るまで読書する。休日は古本屋に寄り、行きつけの飲み屋で女将と会話する。

平山のルーティーンと質素でアナログな暮らしが、近代的なトイレとスカイツリーの存在を強調する。

「変わらないなんてそんな馬鹿な話があるもんですか。」
オジサン達の息を切らしながらの影踏みは何だか切なかった。

家族との確執もトイレ清掃員になったバックグラウンドの説明もなく、多くを語らない役所広司にしかできない作品。ラストのアップの長回しは圧巻。

トレイン・スポッティングでレントンが
ドラッグをキメて床に沈んでいくシーンでも使用された「PERFECT DAYS/Lou
Reed」は平山が頬にキスされたシーンでも流れ、カセットテープ屋に行くシーンでは「Transformer/Lou Reed」 のカセットが登場する。そしてLou Reedのかつてのバンドの楽曲「Pale Blue Eyes/The Velvet Underground」も使われている。そしてAndy Warholのバナナのジャケットで有名な「The Velvet
Underground and Nico」のアルバム。劇中に登場する平山の姪っ子も「ニコちゃん」

監督の強烈なLou Reed愛を感じる。

10段階で言うと10。
TakuoAoyama

TakuoAoyama