毎日朝早く起き、歯を磨き、缶コーヒーを買って車で仕事場に向かう。そして仕事終わりには銭湯に立ち寄り、行きつけの酒場で晩酌をする。
トイレ清掃員として東京の下町で生きる男の慎ましくも満ち足りた生活に「足るを知る」という昔の言葉を思い出した。ヴィム・ヴェンダース監督が平山という日本人を通して描きたかったのは、現代では失われてしまった「清貧」の思想なのだろう。様々な感情が去来する平山の内面を表情だけで演じきった役所広司に拍手。
また劇中でカセットテープから流れるBGMの選曲も素晴らしく、サントラ盤が欲しくなった。