イブの午前中、浦和美園イオンで鑑賞。ほぼ満席！サイコーのクリスマスプレゼント🎁
本当に観て良かった。気持ちの細部、毛細血管までが満たされた〜と思える名作でした。
日々の繰り返しにこそ、大切なことがあり、それこそがパーフェクト・デー（かけがえのない日々）だと静かに語りかけてくれる作品です。
同じ事を繰り返す、ルーティンを重んじる人の生活を描いた映画は多くあり、その大半は、こだわりの強い（自閉的な）主人公だ。
もちろん、本作の平山さんも、その傾向がゼロではないが、彼のあの生活は、今までの人生のいろんなこと、おそらくは上手くいかなかったことの積み重ねの中で作られてきたものなのではないだろうか。
久々に会った姪っ子は平山の仕事を知らなかったし、麻生祐未演じる妹も、「本当にトイレ掃除しているの？」と確認していた。
あの仕事に出会い、一つずつ積み重ねて、
あの生活を積み上げてきたのだ。
平山は、夜は読書に耽り、洋楽を愛して、カメラで木漏れ日を撮る、質素だがとてもインテリジェンスな生活を送っている。妹は運転手付きの高級車に乗っている。
これらから、きっと育ちはとても裕福な家庭だろうと想像できる。（本作は、安易な回想シーンやセリフで過去のことなんて言わないんだ。そんな安直なドラマをヴェンダースは撮らないんよね、）
平山が毎日やってることだけど、朝空を見上げて、ちょっとだけ微笑む。
昼休みに公園で、木漏れ日をインスタントカメラで撮る時、今日は綺麗だなって、嬉しいそうな表情を浮かべる。
仕事を終えて、ひとり、一杯と一皿のディナーを楽しむ時の満足げ仕草。
一つ一つの行動が彼の歴史から生まれたのだと思う。
今日を必死に、質素に、
誇り高く、でも、謙虚に、
つるむことはせず、でも、小さな交わりは大切に、
こーゆー詩があったなあ、、
そうだ、今は亡きフォーク歌手・河島英五の
「時代おくれ」か！
平山は役者・役所広司そのものなのだろう。
全編通して、10くらい？のセリフしかない。
でも、彼が今何を想い、平山という人はどんな人なのかを、観客にたくさん、たくさん
想像させる。
良い映画、良い演技には、空白部分が多い。
その空白は観客が埋めてくれる、それを残してくれているのだ。
大きな事は起きないのに、後半あたりから
自然と涙が滲み、夜の公園で、日本を代表する名優2人が影踏み遊びをするシーンで、それが大きな雫になって、止まらなくなってしまった。
平山は語らない。過去を語らない。
妹とは、もう会うことはないことを悟った。
明日が繋がる保障も蓄えも計画もない。
彼のようにいつ病に倒れるかもしれない。
だからこそ、今日を生きていく意味がある。
人生の中で唯一無二の素晴らしい今日を！
僕の人生に、この映画を、ありがとうございました。
ヴェンダース監督！
そして、役所広司さん！
