木々が揺れて、畳の部屋で。自然や素朴と言った現社会からひとつ距離を置いた暮らしが始まる。
淡々と日々が流れ、同じ毎日。アラームは箒の音、植物に水をあげ、空を見上げて微笑んで。機械とは無縁な日々は新鮮で、人間らしくて、羨ましくて。
彼の営み、人間としての歩み、古本やカセットテープ、文化的で非功利的な鼓動、我々が忘れかけていた何かを思い出して。
映画の帰り、一歩一歩の音を噛み締めて、丁寧にドアを閉めて、靴を揃えて。日々の無意識を意識して、地に足をつけて、日常と深く対峙する儚さ、美しさ。
こんなふうに生きていけたらな。
