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PERFECT DAYSのcathyのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

序盤はほとんど会話もなく淡々と進むのに、全く飽きずに全編引き込まれる作品。
文句なしのカンヌ男優賞。

THE TOKYO TOILETプロジェクトのPRが目的でありながら、東京の下町で暮らす独身中年男性の日常の美しさを見事に描き、宣伝色を感じさせない映画に仕上がっている。
序盤は渋谷区のおしゃれな公衆トイレがたくさん出てきて、まんまと「日本の公衆トイレ、クオリティ高すぎ…」と思った。

とにかく短い時間でキャラクターを観客に伝えるのがうますぎる。
映画冒頭で平山さんが一人暮らしなのに布団をきれいに畳んだ時点で「あ、この人ちゃんとした人だ」ってわかって尊敬した。

◯×ゲームとか朝日楼とかなんでヴィム・ヴェンダース監督が知ってるの?とか思ったらそもそも西欧から日本に入ってきた文化らしい。
日本文化のリアリティは共同で脚本を書いた高崎卓馬さんの影響もかなりありそう。

主人公の「汚くはないがおしゃれでもない」私服が絶妙だと思ったら、ユニクロ提供かつそもそも製作がファーストリテイリング取締役と知り納得。

物語中盤まで主人公がほとんど他者と深く関わらないので、「おじさん、遅いよ!」と姪のニコが登場したときに私も「ニコ、(出てくるの)遅いよ!」と思って笑った。

孤独な男の悲哀は往年の名作パリ・テキサスの要素も感じられ、改めてヴィム・ヴェンダース作品が好きになった映画でした!

●気になったとこ
・浅草駅のあんな真ん前に自転車停めたら駐禁とられない?大丈夫?
・地下街やスナックでハイボール?呑んだ後に自転車で帰るの、飲酒運転だけどいいの?
・自然が好きなのに東京の下町でわざわざ暮らしているのはなぜなのだろう。描かれなかった過去と関係があるのかな
・低賃金なのに毎日自販機で缶コーヒー買うのもったいないなぁ(100円自販機だけど)と思ってたら、BOSSの広告という指摘を見てなるほどとなりました
実際の肉体労働者にはよくあることなのでキャラクター造形としてヘンではないですが
cathy

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