Hideaki

PERFECT DAYSのHideakiのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.5
畳敷きの部屋とローアングル、ルーリードにニーナシモン。平山の妹から手渡された菓子折りが鎌倉紅谷の紙袋だったことからしても、松竹大船撮影所と小津の繋がりを伝えるものなんだろう。そういう意味で、まず撮りたい画と使いたい曲が先にある感じがする。

そしてこれは「Lost in Translation / ロスト・イン・トランスレーション」に代わる、新しい東京のプロモーションビデオになるのかもしれない。ニューヨークグリルからの眺め、スタイリッシュな東京像とはまた違う、トイレと清潔さに執着する日本人の姿が、本当の東京を映していると言えるかもしれない。もっとも、本作の始まりがTHE TOKYO TOILETの企画の延長にあるのだから、それが正解なのだろうけども。

劇的でなくても、差し込む木漏れ日に微かな変化があるように、全く同じように過ごしている毎日にも、やはり変化はある。大袈裟に笑ったり、泣いたり、怒ったりするなんて、白々しい。平山の最後のカット。自分も粛々と仕事をしながら、いつもあの気持ちだ。
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