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PERFECT DAYSのbluebellのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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自分が生きていく上で最低限の責任だけ負うことの自由さに伴う悲喜こもごもみたいな。労働以外の責任を全て捨てると楽になる。でもこれいい季節にいい年齢で撮ってるからある種ファンタジーのような現実離れした幸福を感じられるけど、夏は死ぬほど暑いだろうし冬は寒いし、あと何年かすれば父親が死んで自分も働けなくなって、って時期がくるから。それまでの猶予期間だというのは肝に銘じておきたい。それを一番感じたのは、父親の世話をしているのが妹さんなんだろう、ということ。そうなったらそうなったで、それなりの生活をしていくんだろうか。これ日本じゃなければ素直に見られたけど、私は日本に生きてるから金を下ろすシーンとか、もっと汚いトイレとか、あの母子づれ以上に心ない対応をする人たちを考えてしまうから、悲しくなるね。描いてあることだけ見たら、幸福な映画だ。ぶっちゃけ自分が今ああいう生活をしていて、最低限の労働と責任で好きなものに囲まれて好きなことだけして生きているため、画面の外に続く世界を思ってしまった。

主人公、理不尽なことがあれば普通にキレるから、人間
自分のキャパの範囲で生きてるうちはあんな感じに穏やかにいられるんだよ。別に彼が聖人ってわけでも仙人というわけでもない。彼には自分の面倒を見るので精一杯なんだ。完結した自分の世界で生きている。分をわきまえている、知っている、という話になるんだろうか。

エンドロールの最後の方に「TOTO」って出たときテンション上がったね。
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