モノクロの夢を見る人の話を聞いたことがある。それは不安にはならないのだろうか？物足りないと思わないだろうか？
足るを知るならば、それで良いのだと知った。
映画は同じことの繰り返しの日常で始まる。飽きてしまわないだろうか。毎日せっせとトイレ掃除をする主人公と、この映画に不安を抱いたが、杞憂であった。
小さな幸せを見つけることが上手い彼は、見る者の日常にすら影響を与える主人公だ。
決して大きな事件は起きない。それでも一人の人間が時々巻き込まれるトラブルとその結末に、主人公と同じように私たちも一人の人間として向き合う。それは、生きている誰しもに起こり得る物語だと思わせてくれる。
２０２３年の１１月が映画の舞台だが、この映画の作りなら彼の日常のいつを切り取っても、ずっと見ていられるのだろう。
役所広司さん、サイコーです。田中泯さんも存在感がすごい！
