たまとし

PERFECT DAYSのたまとしのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.4
トイレ清掃員として繰り返しのような毎日を過ごしていく中で、木漏れ日や些細な変化を喜びとして楽しそうに生きている男性の話。
と思っていたら、ラスト5分でひっくりがえされた。終盤、表情一つで何分も映像を持たせる役所広司さんの演技力に脱帽。このシーンを見るための映画と言ってもいいかも。

主人公の日常は『完璧な日々』ではなく『完璧だと思いたい日々』だった。前半は、身近の小さなことに目を向けて幸せを感じて生きているその姿を羨みながら自分には無理だろうなぁとぼんやり思っていたけど、逆にラストシーンではやっぱり自分と同じ人間なんだと少し安心した。

1日を終えたら流れてくる夢を表しているような映像も印象的。夢は全部モノクロで、本当に必要なものだけあればいいっていう主人公の考え方が反映されているような気がする。木漏れ日を撮影しているデジカメも白黒写真しか出てこないタイプのやつで、その影響もあるんだろうけど。

観客は高齢者が圧倒的に多かったけど、これからの人生を考えるであろう若者にこそ観るべき価値がある映画だと思う。とても良かった。10段階で言うと、10。