平山（役所広司）の規則化された日々。同じ光と影は2度と無い木漏れ日。突如入り込んでくる女性たち。変化する事を拒否した男は常に変化していく世界から浮いていく。変化しない事とはつまり変化する事である。毎朝通勤で違った音楽を聞いたり、定期的に古本屋で本を買ったり平山は能動的に新しい刺激や些細な変化を無意識に欲しているんだと思う。かと思えば公衆トイレで偶然見つけたマルバツゲームを楽しむなど受動的な想定外の出来事にも本当は楽しさを見出せる人な気がする。平山の過去に何があったにせよ、あの規則化された生活は自分への罰なのか本当の事は分からないが、あの涙には後悔の成分が多く含まれているように見えた。
