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PERFECT DAYSのiのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ミニマルな禅の世界。ダスキン的な。

いくらトイレ掃除をしても只者でない感じの出る役所広司。そしてやはり只者ではなかった。自ら清掃員であることを選んでいる模様。自ら選んだその生活の中で、それでも結構気分の浮き沈みも描かれている。

日常の何気ない景色に感動する、確かに感動するがそれだけが描かれていたわけではない。

だって、なんでそんな泣きそうな顔で毎朝、泣きそうな顔で運転している。あんな寂しそうな表情。

そしてラストシーンのアップ長回しは映画史に残るくらいの表情だったんじゃないかというくらいの迫力に心奪われる。
楽しくて感動し今日も頑張ろうと自分を鼓舞したその次の瞬間には今日も同じ朝が来てしまったという底知れぬ寂しさが押し寄せ、またその次の瞬間には朝日の輝きに希望を抱き、またその次にはその朝日の永遠のまばゆさに尻込みして恐ろしくなるような。
毎日生きるということの、どうしようもなく毎日が繰り返されるということの残酷さとそういう人生の喜びの、矛盾が一挙に押し寄せる。

犬山犬子の古本屋、日本に100円の文庫しか買わん客に、あんな話しかける古本屋のおばさんはいない。なんとなくヨーロッパ的でなんかそういうシーンがいくつかあり、独特で面白い。

あと音楽が素晴らしい。ロック好きには。パーフェクトデイズって、ルーリードだったんだなあ。柄本時生がパティスミスを普通って言ってのけてるアホな感じがとても笑えた。
ラストシーンもだけど、音楽ありきの映画制作だったんだろうなと思った。

ニコとのくだりや三浦友和づかいには、案外メッセージ性があり、そういうのをカッコつけて忌避する映画とは一線を画す力を感じた。

もっとヴィムヴェンダースの他の作品も観てみよう。
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