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PERFECT DAYSのhayatoのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

現代の日本、東京を撮るということ。
トイレ掃除をする人を描くということ。
想像力が作る側にも見る側にも試される。
映像と音楽が関連し合って一つ一つの場面が、一つの全体像へつながっていく。
美しい。いわば俳句のように、その語の意味や使い方が関連し合っていく。

でも私はこの映画に何も救われなかった。
タチの悪いもの、タチの悪い虚構を感じた。
表現、剥き出しの悪意を表現した方がいいというわけでもない。
フィクションを通じて表現できることはある。lost in translation のアプローチなら、どこまでいっても外の視点なので気にならなかったと思う。
日本人を取り扱い、あえてそこでロケをするのだ、その背景から物語をこ鑑賞者側の中で作るということではオッティンガーの「アル中女の肖像」のほうがずっといい。

この作品はリアルな東京をベースにしながら、富めるものが素朴な暮らしのところに降りてきて…という作りなので、気になる。

こういう映画が堂々と現代に発表されたことは興味深い。そういう意味では情けなくも今の日本社会の投影という感じがする。

生活感がない芸術は私は好きだ。劇中かかる金延さんのサウンドをつくる細野さんの音楽にも共通する。なんでも所帯じみたものになる必要はないと思う。だからこそ、それならそういう次元の映画として見たかった。私に見える日本社会とこの映画で見える社会にズレがあるんだろうな。
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