こーじ

PERFECT DAYSのこーじのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

明日、映画館に行かなければ、
本作が今年の最後の劇場鑑賞作品となります。

いい映画だったー。
2時間超の淡々とした作品なのに、
ずっと惹きつけられて、考え続けさせられて。
「今年は邦画の当たり年でしたね」と、
某大先輩に伝えたら、
「(邦画が当たり年なのではなく、お前が)
 そんな年になったんよ」と。
「そーなのかなー」と思いつつ飯を食べてたら、
無意識のうちに、
歌マネ番組や金庫を空ける番組ではなく、
NHKの高橋英樹が司会をしている
伝統芸能にチャンネルを合わせて、
眺めている自分がいるのに気付きました。
「こういうことかー」
と思った結果、今、この感想を書いています。
ちなみに、角ハイボール缶を飲んでます。


序盤、一言も喋らない。朝のルーティンが確立している。
そんな平山の姿に、
最初は、融通の利かない偏屈な人間なのかと感じました。
話が進むにつれて、
人物像が浮かび上がっていったように思います。
それがラストのラストまで続く。
最後の『Feeling Good』が流れる間ずっと続く
役所広司の繊細な表情の演技。

ドイツとの合作と聞きましたが、
『木漏れ日』というニュアンスの言葉は、
日本にしかないそうですね。
この言葉の解説が最後に出てきました。
私が平山に感じていた美しさや儚さは、
そういうことなのかも・・・と思わされます。

主人公が口数が少ない分、
周囲の人物の反応や関係性から、
主人公の過去の想像が膨らむし、
最後まで過去の説明はなされないし。
それと、あえて表紙を見せるように撮られた
3つの文学作品や、
劇中に流れる曲の歌詞(半分も理解できてないけど)は、
今の心象を表していたんでしょうね。
古書店の店主のプチ解説する一言が、
わざとらしいけど面白かった。

どっかで誰かが
「幸せのハードルが低いと、日常は幸せに満たされる」
みたいなことを話していました。
細やかなものからも、そこに幸せを見つけること。
箒の音での朝の目覚め、朝の空、子どもの声、若者の溌剌とした姿、木漏れ日・・・。
いろんなことを噛みしめる人生を送ったら、
幸せの感度が、繊細になっていくのかな。
日々は、見えないだけで、
美しさに満ち満ちているんですね。
醜い部分に囚われず、
美しさにチャンネルを合わせていきたい。
苦労を重ね、年を重ねるのも、意味のあるものなのかも。

その他の視点 きっと全てに意味がある
・仕事日のみ時計をつけない理由
・玄関の鍵をかけてる動きがない
・最後の朝は箒の音はしなかった
・屋台でいつもの席が空いてない状況の心象描写
・昼食の場所で一緒になる女性の座る位置関係が変わって行くこと
・レコード屋にいる他の客たちの反応
・「まだ本当にトイレ掃除をやってるの?」(だっけ?)と父親との間にあった過去
・平山の過去とニコの過去の重なり
・いつからあの生活か。 
 『5年ほど前』に何があったのか 
 若芽の成長量とニコの成長への驚きと最後の会話から…
こーじ

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