ほうきの音で目が覚めて、布団を畳んで、植物に水をあげてから、缶コーヒーを片手にトイレ掃除に向かう。
昼休憩では、高い木のある公園に行き、木漏れ日の下でサンドイッチを食べる。
仕事が終わったら、行きつけの居酒屋に行って、銭湯で風呂に入り、布団の上で本を読んでから眠りにつく。
ルーティン化された日常の中で、とても繊細な感情の動きが描かれている。
丸バツゲーム、100円で買える古本、公園にいる若い女性、銭湯の椅子で眠りこけるおじいちゃん、ちょっと気になるスナックのママ。
同僚の若い男は、生意気でだらしのない奴かと思いきや、可愛らしくて人に愛される一面があったり。
でも、やっぱり自分勝手なところもあり。
役所広司の台詞は殆どないのに、主人公の小さな喜怒哀楽が伝わってきた。
多くは語らず、主人公の生い立ちを想像させる程度に留めているのも好き。
ラストは役所広司だからこそ出来るものだろうなあ
年末に見られて良かったなと思う映画だった。
