さ

PERFECT DAYSのさのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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小学生並の感想だけど、私って普段清掃の方と目を合わせたことがないな?となった。これでもかという顔アップや夢のイメージ、またトイレという最も私的で身体に結びついた空間のモチーフが、平山と観る者を強制的に近づかせる。(清掃着のおじさんとオーバーラップするって直感的にはちょっと不快で私もウェットティッシュを取り出しかけたが、平山は趣味がいいし何より役所広司なのでなんとかなった。)
アナログ趣味は一周回ってドンピシャだし、タバコ2連続で咽せた後の陰踏みとか、影(と鏡と光)にまつわる表現全体の上手さは流石って感じがする。

焼きそば屋の店主、公園のOL、銭湯の常連といった名無しのキャラ達の存在感がいい。特定の場所や時間でしか会えない彼らもまた、自身のルーティンに基づいて生活している。自分と同じ世界にいながら、接線的に寄り添う他者の生活リズムは存外安心するものだ。

清掃員という職の持つイメージに対して主人公の生活は驚くほどに豊か。清貧や貧困の美化という印象よりは、むしろこの完璧な生活がどうしたら経済的に可能になるの?という雑念というか僻みと常に戦って観た。そこら辺はまたユニクロマネーで映画にしような。
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