魚さかな

PERFECT DAYSの魚さかなのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.2
2023年23本目
 公衆トイレ清掃員の役所広司の日常風景。清貧な一人暮らしでの規則正しい朝のルーティン。文化的な趣味や人との繋がり。
 前半は、フランス映画のような、言葉や会話での説明が何も無く、丁寧な暮らしと仕事の手順が続く。
 徐々に、寝る前の日課の読書は古本屋で買う文庫本、車内のカセットテープで聴く洋楽、毎朝霧吹きで水をやる盆栽、木漏れ日を撮るカメラ、といった趣味のルーティンが明らかにされる。
 自炊を全くしないのに食生活の描き方も良い。甲本雅裕、石川さゆり、三浦友和。銭湯・写真現像店・コインランドリー。
 後半は、姪の登場で実家家族との関係性が明らかになる。裕福な妹、麻生祐未からの「トイレ掃除なんてやってるの?」という冷たい言葉。職業に貴賤はないというのは大抵は水商売に向けられるが、公衆トイレ掃除員は蔑まされる職業という現実があるのかもしれない。
 エンドロールが全て英語なのだが、これは洋画なのか? 台東区・墨田区・江東区の協力で、スカイツリーがふんだんに使われている。渋谷区・株式会社TOTOの協力で、素敵な建築様式で築浅の公衆トイレが登場するが、現実はもっと古くて汚い作業現場だと思う。首都高で通勤も非現実的。
 役所広司主演なので鑑賞。
【追記】公式HPにて企画プロデュース柳井康治氏の文を読み、The Tokyo toilet が実在する名称だと知り、企画意図に感銘を受けた、、、そして、日本財団と柳井氏がトイレを設置し、日本財団と渋谷区で維持管理していたものの、2023年6月に渋谷区に譲渡して、負の遺産を正当化する為のプロパガンダ映画という批判がある事も知ってしまった
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