長いレビューになります。
行間が多く、セリフは少ない。大きな出来事が起こるわけでも明確なメッセージがあるわけでも無いのにこの胸のざわめきは何?
当たり前で面倒くさいと思っていた毎日は、こんなにも美しくて素晴らしいものだったの?一生心に留めておきたい。
〈こんなふうに生きていけたら〉のキャッチフレーズ通り、平山の人生はすごくカッコイイ。玄関前に必需品を並べて毎朝空を眺める。小さな照明の下で本を読んでどれもこれも自分の日常に取り入れたいものばかり。1人で生きることが辛い苦しいと誰しも思うけれども、そんな世界で小さな幸せを見つけるというのはある種の生きる術で孤独を感じない唯一の方法。木漏れ日は時として同じものはない、何も無いような日常でも確実に変化はあるのだと改めて学んだ。
そしてまだ薄暗い早朝の自販機や植物部屋の紫のライト、朝焼け夕焼けなどいろいろな光が美しい。なんて事ない日常の風景が、素晴らしい映像美に仕上がってる。
エンドロールだってカッコ良すぎる。「今度は今度、今は今」「影が重なってるのに何も変わらないなんてないでしょう」などの台詞が、最後の朝焼けに照らされる主人公の涙目(涙は見せない)につながる。あの表情は反則だ。