なにか劇的なことが起こるでもなく、とりとめもない日常をただ切り取った映画。
その日常の中にある見落としがちな小さな喜怒哀楽の感情の欠片を丁寧に描いていて、同じように見えても同じ1日など1つもないんだと強く感じた。
説明的な台詞や展開はなく、大袈裟な表現もまったくない。だからこそ、劇中に出てきている人たち全員が、本当にその世界で生きているような感覚に陥る。
ドラマティックでもエキサイティングでもない映画だったけど、もしかしたら映画の本質ってこういう作品なのかもしれない。
ただ、本当の意味で、自分にはこの作品の良さを分かるだけの経験値がまだ足りていないこともなんとなく分かる。30年後にまた見たら、また違う感情が湧き出てきそう。次に見る時まで、今ある感情は失くさずに温めておこうと思う。