1世from524

PERFECT DAYSの1世from524のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5
映画とか芸術ってものは言葉にできないものを表現するためにあるんだよな〜
と、役所広司の演技を見て思わされる

役所広司の表情に滲むのは、悲しみでもあり、喜びでもあり、幸せでもあり、不幸でもあり…まさに言葉じゃ表現しきれない感情の淡いグラデーションのよう。そのグラデーションは役所広司演じる平山の夢や彼の撮るモノクロ写真のような、光と影の重ね合わせとも重なる

ヴィム・ヴェンダースが日本を舞台にして焦点を当てたのは、公園のトイレ掃除を生業とするおじさん平山。エッセンシャルワーカーとして社会を支えながらも、とかく低く見られがちな職業だ。
そんな平山の生活は素朴だが規則正しく、質素だが豊か。ルーティン化した日常を生きる平山の姿はどこか羨ましく「これがPERFECT DAYS!」と言われりゃそうかもと思えてしまう。

この映画はそんな「PERFECT DAYS』の中のちょっとした綻びを描く。そこにはちょっと幸せな綻びもあれば、こんな日々もいつかは終わるかもという予感を含みつつ予定調和が崩れることもある

個人的には終盤の展開にはグッときた。
もしかしたらそうだったかもしれない姿と影を重ねて、今度ではない今はこれでよかったのか?今の方が幸せだったのか?
その明確な答えを与えるわけではなく、役所広司の表情は一言では言い切れない繊細で複雑な感情をこちらに訴えかけてくれる
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