ブー

PERFECT DAYSのブーのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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2024年1本目の映画がこれで良かった。
映画を観ているというより清掃員のドキュメンタリーを観ている感覚だった。
そう思ったのは役所広司の表情の幅であったり細かい動作がとてもリアリティだったからだと思う。

役所広司演じる平山はほうきを掃く音で目覚め仕事に行く前に必ず缶コーヒーを買い、トイレ掃除の仕事をする。仕事帰りには決まった銭湯に行き決まったお店でご飯を食べる。
ルーティン化された日常で変化もないが
平山はその生活に満足しているように見える。
その姿を見てルーティン化された日常を送れることがどれだけ凄いことか強く身に染みた。
同じような生活ができるということは、大きなハプニングがなく日々を送れているということ。
それはとても凄いことで直近大きな災害があったからより一層思う。
変化がない日々をつまらないと思うんじゃなくて同じような日々を過ごせることの有り難さを持ち生きて行きたいと平山の日々を観て思った。

平山が「人はそれぞれ同じような世界に住んでいるようで、実は違う世界を生きている」と言っていて、その言葉から平山は何かを諦めているように感じた。それは他人を深く理解することだと自分は思った。「理解できないのであれば、自分1人で楽しもう」そんな思いを平山は持ちながら日々を過ごしていくうちに変わらない日常の尊さに気付いたのではないかと自分は解釈した。
ただ影踏みの場面そして最後の平山の表情から人は同じ世界で生きられるという希望が僅かに平山に残っているのではないかと思った。

改めて2024年1本目の映画がこれで良かった!
自分が平山ぐらいの歳になったらまた観たいと思います。
ブー

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